一日一鼓【0619~0622】
しっかりと高校を卒業し、
しっかりと大学に入学し、
しっかりと単位を取って一年目を終えた。
真面目な良い子という肩書きで同期の中に紛れた私は
晴れ間の雨の色を、記憶の奥底に仕舞い込んだ。
いつも通りが365回続いた。
大学2年生もあっという間に終わっていく。
特別なことと言えば、私は大人になった。
「大人」と言われる年になった。
でも何も変わらない。
退屈な日々の繰り返し。
就職活動家(と呼んでいる大学3年生の同期たち)に紛れて
なりたいものも分からずフワフワと“今”を歩いている。
進む先も見えぬまま
フワフワと、フラフラと。
そして
単位の取り方と講義のサボり方を知った21歳の夏。
人よりも植物の方が生き生きとした街の
竹に囲まれたあの渓谷を歩いていた。
またあの場所に足が向いたのは、ある絵がきっかけだった。
「晴れ間に見える雨の色は?」_と、問われたかのような絵。
課題で美術鑑賞レポートを書くために向かった美術館での出会いだった。
なんと書いたら伝わるのだろうか。
それはまさに「晴れ間に見える雨の絵」。
…緑の雨が優しく降り注ぐ、晴れ間のあの渓谷の絵だった。
名前を見ずとも、それが彼の絵であることは一目瞭然だった。
キャプションに、彼は何て書いたのだろうか。
私だったら何を書くだろうか。
見るのが少し怖くなったのは
“あの雨の色”を忘れていたからだろうか。