一日一鼓【1225-1,2】
嬉し涙も悔し涙も私には流せない。
だから存分に流せばいい。
その涙を、隠さないでほしい。
あの頃の私が夢見た景色をここで
私に見せつけてほしい。
その弱さも強さも
全部私が欲しかったものだから。
その涙であなたの誇りが守られるなら
たくさん泣けばいい。
だからお願い…
「また笑って魅せて」
そう願った。
深夜0時を過ぎ、魔法が解けた公園で
涙を流しながら彼は肉まんを頬張った。
彼の希望と絶望が生々しく白い息と共に漏れていくような気がした。
その全てを私が受け止めたくなった。
0時を過ぎても消えない夢の先を
彼の瞳を通して見たくなった。